社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

ゲーム交流を振り返り

f:id:koufuku54:20220313121634j:plain

 ゲーム交流が行われた週明けに振り返りを行った。ざっくばらんに「どうだった?」と問うた。子どもたちからは、「操作キャラがなぜかドンキーコングになった」、「なぞの人物が乱入してきた」などのハプニングの内容から、「実はすごく緊張していた」、「プレッシャーがあった」といった生々しい思いなどを述べていた。

 そんな中で、ある子が「残念だけど、失敗してもよかった」と発言した。どういうことかを深く掘り下げると、「うまくいかなかったら、またみんなで考えればいいと思っていた」と答えていた。このことについて、他の子たちに「今の意味分かる?」と問うと、「分かる分かる」という声があがり、「どうすれば成功するかをまた考えて成功させばいい」という意見が出てきた。非常にたくましい集団になったものだと感じた。このマインドが非常に大切だと思い、これまで取り組んできただけに何ともいえない嬉しさを感じた。

 大人になればなるほど、失敗を避けるような行動を取りがちである。ただ、そこからは新たな価値を創造していくことはできない。新たな気づきが生まれないからだ。そして、失敗してもそこからまた考えればいいというマインドは、大人になってから芽生えるものではないと最近強く感じている。そんな意味で、今年の実践からの学び(目の前に壁があり、うまくいかないことの連続)が子どもたちの心に深く刻まれてほしい。

f:id:koufuku54:20220313122704j:plain

 また、XさんとYさんの感想も聞きたいということが出てきたので、後日、Zoomで互いの感想を述べ合った(これは当初から計画をしていたが…)。

 XさんとYさんの感想に共通していたのは、「子どもたちの思いを強く感じたから自分も頑張った」というものであった。子どもの思いが大人の心に火をつけ、新たな価値を生み出していくことはこれまでにもあったが、今回の事例はまさにその際たる例である。子どもたちにも年間の学びを振り返らせるが、自分自身も今年度の実践を深く省みていきたい。

ゲーム交流無事終了!

f:id:koufuku54:20220228223558j:plain   

東京オリンピック・パラリンピックを題材とした総合的な学習の時間に、金沢で事前合宿を行ったフランス・パラ水泳代表チームと合宿前から大会閉幕後の今も交流を続けている。 今回は、「コロナ禍でも絆を深めることができる国際交流」をテーマに、オンラインゲーム対戦を行おうと児童らが企画し、選手たちが快諾した。

東京五輪公式ビデオゲームを開発した株式会社セガがゲームソフトの提供とオンライ ン接続の技術的支援を行い、産学官が連携したオリパラアフター交流事業として、全国 で初めての取組になる。 内閣官房東京オリパラ推進本部に確認済み

(金沢市オリンピック関連事業推進室記者資料より引用)

 なんとか無事に開催することができた。予期せぬこともあったため、全てがスムーズに行われたわけでは決してないが、比較的柔軟に対応できたように思う。XさんとYさんをはじめとする市役所の職員の方には本当に頭が下がる。

 そして、何よりも子ども全員がゲーム上で仏パラ競泳選手と泳ぐことができたことが大きかった。終わったあと、笑いながら泣いていた子がいたが、その姿が強く印象に残っている。残り3週間で年間を通したこの総合の取り組みを彼らに価値づけさせて終わりを迎えたい。いつも感じることだが、この振り返りが本当に大事だと思う。今年はこのことをこれまで以上に強く感じる。彼らがどんなことを述べるのかが非常に楽しみだ。

 以下は、ゲーム交流を終えたあとの振り返りの一部である。

  • オンラインで選手の元気な姿が見れてよかったし、全員で総合の時間を使ってうまくいく方法を考え、無事みんなオンラインとゲームに参加できたのでよかったです。これまでたくさんの時間を使って、蔓延防止が延びたらどうするか、残りのSwitchをどうやってゲットしたり借りたりするのかを考えるのが苦労したけど、実現できてよかったと今思いました。
  • ゲーム交流を通してより仲が深まったと思います。実際会ったことはないけど、オンラインで繋がることができたし、オンラインだからできました。選手もコロナが収まったら会いたいと言ってくれたから嬉しいです。これからは、1年間の振り返りをしたらいいと思います。理由は、来年の取り組みにつながるかもしれないからです。来年には今年はできなかったことができるかもしれないし、もっと沢山の人と交流できるきっかけとなるからです。

 

開催に向けて

f:id:koufuku54:20220227105704j:plain

 子どもたちは、キャラクターのお面づくり、当日応援用の旗、旗につけるようの折り紙をつくることになった(前回記事参照)。授業時間で行うのではなく、やりたい子が休み時間や家庭で取り組むことになった。

 また、この週は感染状況を考慮し、急遽対応しなければいけないことが多々あった。自宅からゲームをする児童に対するソフトやマニュアルの配布、接続状況の確認、会場設営など、Xさん、Yさんと担任の三者が現時点でできる最大限のことをしたつもりである。子どもたちができることは子どもたちが行い、大人がすべきことは大人がしている。これまでであれば、大人は水面下で隠れて行っているのだが、今回はそういうわけにもいかない。必然的に調整などは大人の役割となるため、子どもも担任の動きを介し、その様子を肌で感じていたようである。あまりこういうのは見せてこなかったのだが、子どもの振り返りを見る中で、全てを水面下に位置付けることが正しいわけではないということを新たに感じた。

 以下は、2日前の子どもの振り返りである。この実践の最後の落とし所の布石となる振り返りだと考えている。

  • 私はXさん、Yさんが一生懸命になっていることを知っています。なので、このzoom 交流を成功させたいと思っています。みんなが一生懸命やってきたからです。そして、Xさん、Yさんはどんなことを考えてやっているのか教えて欲しいです。絶対に成功させましょう♪

開催形式の決定

f:id:koufuku54:20220219100236j:plain

 ゲーム交流を行うに際し、考えられる3つのパターンのうち、感染状況および運営の効率性をもとにXさんとYさんと相談した結果、ハイブリッド型で開催することとした(以前のフローと若干異なるが)。前回の授業から、XさんとYさんの苦労を伝えたところ、Switch確保に向けて、子どもたちとその保護者の方が動き始めてくれたた。数台確保でき、万が一、全員自宅型に切り替わったとしても、機材的には問題がない状況にまで至っている。

 交流が次週であるため、具体的なイメージをもたせたかったので、授業冒頭部にハイブリッド型に確定したこと、当日の配信の詳細を伝えた。このあたりは、子どもに考えさせることをさせるのではなく、スムーズな運営と一体感を味わうことができるような環境を大人で決定した。ただ、このままでは、ゲーム交流そのものが「準備されたもの」となってしまう。もちろん、ここに至るまで子どもたちの頑張りはあるが、見える当日の形の中にも、子どもが考えた要素を位置づけたかった。

 そこで、このゲーム交流の目的を再度確認し、フランス人選手たちに何を感じてほしいかと問うた。ここでは、「交流してよかった」「(ゲーム交流だけではなく)もっと交流したい」と感じてほしいという意見が出てきた。そして、「自分と一緒」というつぶやきがあったので、拾ったところ、自分たちもそんな気持ちになれればいいという結論に至った。それを受け、「単にゲームして終わり!にならないため、どんなことをするとよいか?」と問うた。ここで授業は終了。現時点では、実況をする、盛り上げるためにお面をかぶる、フランスのものを身につけるなどのアイデアが出ている。

現状の確認

f:id:koufuku54:20220213073617j:plain

 ゲーム交流が近づいているなか、XさんとYさんは非常に大きな苦労のもと、様々な手続きを行ってくれている。この過程については、今年度の総合実践の総括の際のキーになってくることに加え、子どもたちからも端末確保どうしようかという迷いが日記や振り返りに多数書かれていたため(日が近づいて来ているからであろう)、ここでは互いの現状を報告することとした。

 子どもたち側から報告したのは、一斉型で開催することになった際の2台は確保できている(保護者承諾済み)こと、全員家庭型になった際の9台のうち、5台は知人から借りられそうであること(未承諾、後日保護者にアナウンス)、竹細工づくりが順調に進んでいること(後日別記事で取り上げる)ことの3点である。

 XさんとYさんからは、フランスに環境設定済みSwitch3台送付したこと、フランス側に送る時に膨大な書類を作成しなければならないこと、Switch9台の確保に善処していることという3点のご報告があった。

 この交流の中で、①友達に貸してもらって壊れた場合、保険で本当に直してもらえるのですか、②セガからゲームソフトは届いているのですか、③送る時にどんな書面を書いているのですか、などといった質問があり、Xさんに回答いただいた。①と②に関しては子どもの不安感から出た質問であったため、その回答により、ホッとした様子であった。特に、セガから届いたソフトが映し出された際には、大きな歓声があがった。そのあと、9台はかき集めてくるしかない、という結論にいたり、あらためて近所の友達や親戚などで貸してくれる人を探してみようということになった。

 また、たった3台のSwitchを送付するために必要な書類を目の当たりにし、自分たちの取り組みの裏側で大人たちが支えてくれているということをつかんだようである。このことは、多くの子どもが振り返りに書いていた。

 他にも、セガにもお礼を言わないといけない、どんな風に運営していくか話し合わないといけない、選手の方が先にゲームにふれられるからこっちもなんとか練習しないと負けてしまうからどうしようなど次につながることが多数出て来ていた。

  • XさんとYさんとZoomでつながり、現在の状況を話しました。XさんとYさんが苦労していることが分かりました。ゲーム交流にむけ、大変なことをやってくれているので、感謝したいです。

ゲーム交流を実施する際のパターン

f:id:koufuku54:20220206134117p:plain

f:id:koufuku54:20220206135251j:plain

 今週は諸事情につき、授業があまり展開しなかった。ゲーム交流を実施する際に、どのような形態で行うことになるかを、オリンピック関連事業推進室のXさんから示していただいた3つのパターンをもとに子どもたちと整理した。ゲーム交流は時差の関係上、夜間となる。現在のコロナの状況では、市の新たな施設に一斉に集合してもらい実施することはできない。ここはまん延防止措置がどうなるかをもとに判断したい。一斉集合型が準備の面で非常に負担が少ないので、できればこれでいきたいと考えている。

 結局、状況に応じて必要な台数が変わってくるというところまで確認はできたが、どうやってSwitchの本体を確保するまでの議論はできなかった。交流は2月末に実施予定であるため、次週考え、Xさんとも詳細をつめていくこととする。 

選手とのオンライン交流

f:id:koufuku54:20220129164146j:plain

 オミクロン株の猛威でフランスパラ競泳選手の合宿は中止になったと思っていた。だが、現地コーディネーターと急に連絡がとれ、予定通り開催しているという情報が入ったため、急遽オンライン交流をすることとした。19時45分スタートという遅い時間からのスタートではあったものの、保護者の方の協力があり、多くの児童が参加した。これまで夏に1回交流をして以来、リアルタイムの交流はなかったため、フランスサイドの反応が十分につかめていなかった。今回の交流を通して、こちらの想像以上に選手たちが感謝してくれていたことと、自分たちのことを大切に思ってくれていることがわかった。

f:id:koufuku54:20220129164654j:plain

 翌日、交流を通して感じたことを共有したところ、【選手の顔を見ることができたことの喜び】、【次回の交流にむけたフランス語の特訓の必要性】、【ゲーム交流への期待】、【選手理解の促進】、【支えてくれている方への感謝】が出てきた。ちなみに、ゲーム交流に関しては、株式会社セガより提供可能という連絡が来たことも子どもたちに伝えた。喜びの声とともに、Switch本体はどうしよう?ということが問題としてあがった。このあたりはあらためて考えていきたい。

(※後日児童の感想を追記)

  •  

 今回は仕方がないが、やはり今年の実践は相手からのレスポンスにかかる時間に大きな課題がある。今回の交流後の感想の中に、障害そのものや異なる文化に関する疑問が多く見られた。仮にこの交流がもっと前に位置づけられていたら、異なる展開になっていたであろう。(決して後悔をしているわけではないが…)この点については、次年度以降の実践の課題としたい。