社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

GT来校

 自分たちだけで解決できないことが出てきたこともあり、GTを教室にお招きした。夏休みに数名の子どもが近江町市場商店街振興組合に直接伺っていたこともあり、その子どもから、ぜひ招きたい人がいるということで振興組合の職員の方に来ていただくことになった。(今回は、簡略化して記載する。)

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 市場で働く人々や市場を支える人々は、地元の客に来てほしいと思っているけど、実際には観光客の方が圧倒的に多いということを確認できたことが大きな成果であった。

発表内容の確認&リサーチチーム補足

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 4回にわたるプレゼンチームの発表を模造紙に整理し、プレゼンチームが発表準備をしている間にリサーチチームが調べていたことの補足説明をする時間を設けた。「自分のノートにはハテナはメモしているけど、みんなはどんなハテナがあるか整理したい」という声があがったこともあり、確認することとした。

 これまでと異なるところは、店舗同士のつながりに関して疑問をもつ子どもが複数いたということだ。”同じ商品を扱う店で喧嘩にならないのか”、”全店舗で共通の取り組みはないのか”、”お店同士で協力しあっていることはあるか”、”イチバのハコにはどうして4店舗しか参加していないのか”といったところである。これまで近江町市場に関しては点でしか見てこなかったが(これなかった)、社会科における横断的な学習により、点と点を結びつつあるように思う。

 これらのハテナをどう解決するかと問うと、近江町市場の方に来ていただくとのこと。自分たちだけではもはや解決できないらしい。このあたりの判断もよくなってきたように思う。一人の子が、土日に振興組合の職員の方にアポを取りにいくと言っていた。行動力が素晴らしい。また、以下は児童のふり返りである。こっちが構想としてもっていたものと同様のものがあった。昨年度からいる子なので、それだけ総合の流れが身についているのかなと感じた。

  • 知れば知るほど、疑問は出てきてきりがないので、(去年みたいに)近江町市場の客数を自分たちで増やそうなどの目標を立てて行動をしていければいいなと思います。
  • 今日、あらためて不思議に感じたのはお店同士のつながりだ。ここのところは、実際にお店の人に聞いてみたい。

追記

 社会科では近江町市場の一つの店の商品に特化して、「他地域や外国との関わり」について調べている。「どうして地物を揃えているのか」、「同じ商品でも時期によって仕入れているのはどうしてか」について、社長に電話で聞くこととなった。2つを聞く予定だったが、総合の授業で話題にあがっていた”同じ商品を扱う店で喧嘩にならないのか”はどうしても聞きたいということで、急遽質問した。「競いあうことでよい店にになっていく」という回答に当初は、”?”という子もいたが、あらためてじっくり確認すると、「すげーー!」という歓声が聞こえた。社会科のふり返りはこのことが大半をしめていた。社会のねらいとは外れているが、それだけ印象に残ったのだろう。これがきっと他の場面でもつながっていくことになると思う。

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プレゼンチーム発表②

 当初は3コマを計画していたが、一人一人の発表のあとの質疑応答・感想のフィードバックに時間がかかっていたこともあり、追加で1コマ(合計4コマ)が必要となった。ちなみに、子どもたち曰く、”へぇ〜”や”ハテナ”だけではなく、”やっぱり”があるとのこと。

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 前回の記事でも述べたように、今回の発表でも社会科とのリンクがかなり見られた。子ども自身もそのことを感じているように思う。

 また、今回、非常におもしろかったのは、一人の発表を起点として情報の蓄積から課題解決に至ったという点である。近江町市場では熱中症対策で氷柱を置いているが、ある子がそのことを工夫として取り上げた。その取り上げられた氷の中には、花が入っていた。その後、自分もその氷を見たという子4人が、タブレットで撮影してきた写真(写真2〜5)を全体に示した。「なんでこんな氷の中に物をいれとるんかな?」という素朴な疑問から、あーでもない、こーでもないの議論があり、最終的には、証拠の写真(写真6)を見せながら、「コロナ対策で触ることができないから、お客さんが目で見ても楽しめるようにしているのではないか」という結論に至った。

(写真は後日アップ)

 例年、このような展開では、実際に見た子とそうでない子に温度差が生まれる。だが、証拠の写真があることで、共通の土台が確立された。場面だけ見ると、小さなことかもしれないが、大きな一歩だったように思う。タブレットを自宅に持ち帰らせているからこそできた。こんなことが他にも生まれるように期待するとともに、何かシステムを構築したい。

プレゼンチーム発表①

 プレゼンチームに所属するメンバーが独自に調べてきた内容をそれぞれ発表する。13名がプレゼンチームに所属しているため、約3コマ必要である。現時点では、2コマが終了し、9名が発表を終えた。教室後方部のプロジェクターで発表し、それぞれの発表内容を板書に位置付けておいた。

 また、単なる発表で終止しないために、なんのために仲間の発表を聞くのかを確認した。「総合では、分かったことから新たなハテナが生まれてくる」という反応を受け、仲間の発表から自分の中で「へえー」と「はてな」をはっきりさせるということを聞く目的とした。なお、発表終了後には、内容に関するフィードバックの時間を確保した。このことの重要性については、学習指導要領にも明記されている。

報告の場として,学年や学校全体でどのように学んできたか,それに よって何が分かったのかを共有する場面が想定される。参加者全員の前で行うプ レゼンテーションや目の前の相手に個別に行うポスターセッションなど,多様な 形式を目的に応じて設定することが考えられる。その際,報告することを探究的 な学習の過程に適切に位置付けることが大切である。  そこでは,発表の工夫をさせると同時に,聞いている児童にも主体的に関わら せることが重要である。例えば,発表者となる児童が要点を絞って伝えるための 図や表の活用,視聴覚機器やプレゼンテーションソフトウェアなどをツールとし て利用することなどが考えられる。聞いている児童には発表内容を深め,問題点 50 第4章 指導計画の 作成と内容 の取扱い に気付かせる「よい質問」をしたり,発表者の学習成果を改善させるアドバイス をしたりすることを目標とさせるなどの工夫が考えられる。その上で,発表後の 時間を十分確保して,交流したり,それぞれに自己評価したりして,新たな追究 に向かわせるなども考えられる。このようにして,言語を利用した協働的な学習 によって,グループごとに異なる学習内容を共有したり,相互に関係付けたりす ることが実現する。

(学習指導要領解説編p49-50)

 

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 パズルのピースがつながるように、少しずつ”近江町市場”というざっくりしたものが子どもたちにとって見えてきているように思う。子どもの反応やふり返りからそのことが分かる。特に、社会科における「店ではたらく人々」でも横断的に行ってきていることもあり、関連性が見えて来た部分がある。ただ、現時点では今後の展開に進むべき段階にまでは至っていない。全員の発表が終わり次第、共通理解をしっかりしたうえで、子どもたちとビジョンを共有していきたい。

 以下は、児童のふり返りの一部である。

  • 近江町市場に平均12000人の来場者数が来ているのが、地元の人だけではなく、観光客や飲食関係者も来ているとなると、その数字もありえるなと思いました。
  • ○○さんのシェフや料理店の人も買い物に来ているという発表におどろきました。きっと、すごくいい食材があるから来るんだろうなと思います。
  • 前回と今回の発表を聞いて、近江町市場の歴史やそれに関係する疑問が出てきました。特に印象的だったのは、近江町市場には唯一、お米屋さんがないということです。また、滋賀県の人(近江)がどうしてわざわざ作ったのかということも気になりました。このことを調べたいと思います。

プレゼンチームとリサーチチーム

 プレゼンチーム(自身がすでに調べたことを発表する)とリサーチチーム(近江町市場の気になることを調べる)のどちらに所属するかを確認し、それぞれで学習を展開していく。3コマの分のことをまとめて取り上げる。

プレゼンチーム

 プレゼンチームの4年は前年度の総合で慣れていることもあり、資料作成段階まで問題なく進めていくことができるだろうと考えた。だが、総合の学習が未経験の3年がいるので、一度しっかり確認することを行った。プレゼンのポイントは「しまった!」の視聴を通して、確認した。

www2.nhk.or.jp

 その後、構成を考え、資料の概要を整理し、その後、E-VOLVOXを使ってプレゼン資料を作成する。(前半はプリントを活用したが、もうそろそろ全てデジタルで出来ないか…。)現時点で、ほぼ全員が発表できる段階まで到達している。端末を家庭へ持ち帰らせることを許可しているので、自宅で終わっていない部分を終わらせてきたり、リハーサルをしてきたりしている。持ち帰らせることの有用性をあらためて実感できた。f:id:koufuku54:20200912153456j:plain

  • スライドが完成しました。だけど、スライドにはない+αをどう説明するかが大事なので、まずはノートに書いて整理していきたいです。また、せっかく写真があるので、拡大してみんなに見せたいです。昼休みか家に帰ってからじっくりやろうと思います。

リサーチチーム

 気になる項目を確認し、各々がインターネット資料を用いて調べる。問いを立てさせることも考えたが、今回はテーマだけ決めさせ、現時点では広く浅く調べ、いろんなものに興味をもたせることとした。地図をもとに、市場にある店舗の数をジャンルごとに数えたり、市場が開設された経緯を調べたりと、全体を通して多種多様なものを調べていた。一方で、検索ワードの用い方や調べたことを整理する方法についてなんらかのテコ入れが必要であることが分かった。もっと調べたいということで、自宅で親と一緒に市場の変遷についてまとめてきている子もいた。ここでも持ち帰りの強みを感じることができた。

  • 近江町市場は2つの市場が合併してできたことが書かれていたサイトを見つけました。でも、これが本当かどうかはわからないので、「2つの市場が合併してできたというのは本当か」という課題で家で調べてきたいです。

2学期授業構想

 昨年度は総合を中核にしながら、国語科と横断的に学習を展開していった。教科横断的に授業を展開させていくことの有用性と奥深さを感じたので、今年度は国語科だけではなく、異なる教科でも同様に行っていきたい。ひとまず、現時点では以下の様に考えている。

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2学期のビジョンをもつ

 どうしてもブログの更新の優先順位が低くなってしまうことから、投稿の頻度が下がってしまう。だが、このブログによって実践でつながりをうまれるという点と、取り組みを想起できる点にいて大きな役割を果たすことが分かったので、無理ない範囲で継続していくこととする。

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 2学期はじめての総合の授業である。夏休み期間中に3分の2の子どもたちが市場に足を運んでいた。そして、Classroomにも多くの投稿があった。ただ、ここの実際にいけていないところの児童にどうフォローをするかが問題である。自身がモヤモヤしていることもあり、こういう方向を進めていこうと投げかけるのではなく、現状の確認から方向性も一緒に考えていくこととした。

 1学期の総合での学びをスライドショーで確認し、夏休みの取り組みからアンケートを行った。「市場についてくわしくなったかどうか」「仲間の投稿をくわしくみたかどうか」という2点である。結果から分かることを共有したところ、「クラスの中で壁がある」「くわしく調べた人は伝えればいいし、調べきれなかった人は今から調べればよい」という意見が出た。これに近い構想はもっていたが、ここは出てきた考えにのっかることにした。今後は、2チーム(プレゼンチームとリサーチチーム)に分けて展開していきたい。

ふり返り

  • これからの総合では、E-VOVOXを使ってみんなに分かりやすい資料を作りながら、発表に向けて準備したいです。去年の総合は最後までできなかったので、今年は自分ができることをがんばって、道を創っていきたいです。
  • これからの総合では、まず自分が調べたことをみんなに伝えられるようにがんばりたいです。そこから、また新しいハテナが見つかるかもしれないからです。
  • これからの総合で、自分はまだ十分に調べきれていないところをじっくり調べていきたいです。みんなに伝えられるようなものを見つけたいです。