アイデアを生み出す方法
前年度の実践の課題をどう打開するかということをじっくり考えてきたが、そのパズルのピースが2週間ほど前に全てつながった。タイミング的にも今がちょうどいいと思い実践した。本筋の授業とは異なる展開に1コマ(+家庭学習)時間を設けた。
前年度もこの時期あたりから、町家でどのような体験ができるかについてアイデアを出していった。出てきたアイデアについてはおもしろいものが多くあったが、そもそも偶発的なものが大半を占めていた。つまり、アイデアを生み出す方法については別段示すことなく、子どもたちに全てを委ねていた。何らかのアイデアを生み出す方法や法則が示せていればもっと違ったアイデアが出てきていたのではないかと悶々としていた。だが、アイデアを生み出す方法などそもそも自分が習ってきていないので、こういうものはあるのかと2ヶ月程度書籍を当たってきた。様々な書籍の中で、以下が非常に参考になり、これを授業のベースの一つとして子どもたちに示すこととした。
※書籍を参考に作成
ただし、これを示すだけでは児童が具体的に考えることはできない。ずっと、この考え方を具体に落として考える事例がないかを探していたが、ある時、Facebookのタイムラインのニュースで取り上げられていたものが目に止まった。東京の老舗銭湯がリニューアルしたというニュースである。
黄金湯が行ったこと
- バーカウンターの設置「たし算」
従来の牛乳や瓶コーラなどの飲み物加え、アルコールを置く - 壁絵の変更「ひき算」
典型的な銭湯のゴージャスな壁絵からシンプルな富士山絵巻に変更 - 宿泊施設「かけ算」
異なる領域(銭湯と宿泊)をかけあわせる(現時点では未実施) - DJカウンターの設置「わり算」
ラジオからDJブースへ(ラジオなどのレトロなものを逆転)
※ここがちょっと苦しかったかもしれないが…
この事例をもとに授業をすることとした。まず、四則演算に基づいてアイデアを生み出す方法を示し、その後、黄金湯が4つのアイデアのうちどの方法で客数を増やしたと思うかと問うた。この時点では、正解が4つであるということは述べていない。どれを行ったかについて議論する中で、そのアイデアの奥にあるターゲットの存在に気づいていくこととなる。これもねらいとしていた。近江町市場を活性化するアイデアを考える際には、ターゲットのことを考える必要がある。このことに気づいてほしかった。あーでもない、こーでもないと議論しながら、授業はオープンエンドとした。
そして週明けに、黄金湯のニュースを視聴した。「結局、答えは全部だった」というオチもあり、子どもたちの心には深く刻まれたようだ。この四則演算の考え方を今後、生かしていってほしいと考えている。
児童のふり返り
- アイデアを生み出すことについて知りました。もしネットですぐ調べていたら、どうしてそうなるのかということを考えていなかったと思います。(途中略)今回みたいに考えることができたのは式のおかげです。それとみんなで考えたからです。これからもこれを使っていきたいです。
- 今回は、アイデアを考える時、「+−×÷」を使えばいいということを学びました。先生が答えを教えてくれると思ったのに、「来週いいまーーす」と行った時、ちょっといらっとしました。答えは何なのか、休みにじっくり調べました。