社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

【一次第5時】GTを招き予想が正しいかを確かめる

<授業構想> 

ねらい:空き家に関する問題と金沢市における空き家数が増加していくという事実をつかみ、社会の一員として何らかのはたらきかけをしようという気持ちをもつことができる

1.前時までの確認をもとに学習課題を共有する

2.空き家の定義と問題を知る及び、あぶない空き家がそのままにされている理由について知る

3.空き家がますます増え続けるということを知る

4.空き家が増え続けるということをうけて感想を伝え合う

5.空き家をへらすための視点をつかむ

6.学習をふり返る

 これまでに話し合ってきたことは、あくまでも予想であることを確認し、それを視点とするなかで、市役所職員(以下、GTと表記)の方の話を聞く。ここでの視点とは、「空き家の問題点」、「あぶない空き家がそのままになっている理由」の2つである。また、空き家の持つイメージが極端であるため、空き家の大半は住むことができる状態であるということを具体的な映像で示してもらう。さらに、自主学習のなかで、今後ますます日本で空き家が増えていくということを調べてきたことを取り上げ、実際にはどうなのかについても話してもらう。3・4年児童にとっては難解な説明であることが考えられるため、ここでは適時教師が要約を行ったり、児童に問い返しを行ったりすることを通し、理解を促していきたい。

 また、金沢市も空き家はますます増えていくという事実が、児童の心に深く刻み込まれるかがこの授業のキモである。GTの映像資料に活用しながら、空き家の問題に立ち返るなかで、「なんとかしたい!」、「なんとかしなければ!」という気持ちを高めていくこととする。

 

  • 領域1:教師の期待するふり返り以上の事柄が記述されている
  • 領域2:市役所職員の話が整理され、自分なりのはたらきかけについての記述がある
  • 領域3:自分なりのはたらきかけについての記述がある
  • 領域4:市役所職員の話を自分なりに整理したこと、自分なりのはたらきかけのどちらも記述されていない 

<授業省察

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  • 領域1・・・1人
    <新たな視点>
    (自主学習とつなげて)新築住宅が増えているので、中古物件の空き家が売れるはずがない
  • 領域2・・・20人
    多くの児童が記述していたを記載
    ・何ができるかを今後みんなと考えたい(6人)
    ・このことをみんなに呼びかけていったらへるかもしれない(伝えたい)(5人)
    ・空き家を残していきたいと思っている人の気持ちがますます知りたい(1人)
  • 領域3・・・2人
  • 領域4・・・0人

 空き家問題の詳細を住宅政策課の方にリアルなデータとともに示してもらえたことの成果は大きい。本時では「空き家の問題点」、「あぶない空き家がそのままになっている理由」に関する予想は正しいという確認ができたこと以外に、大きな成果が2つあげられる。

 第一に、空き家のもつイメージを更新してできたということである。空き家の大半は住むことができる状態であるということを具体的な映像で見た直後に驚きの声が聞かれた。実際に、多くの児童がふり返りの中に、「自分の知っていた空き家とはちがう空き家があるということを知った」ということを記述していた。管理されている家、管理されていない家というこの視点は今後も生きてくるであろう。

 第二に、金沢市の空き家はますます増えていくという事実の提示から、「なんとかしたい!」、「なんとかしなければ!」という空き家問題に関する当事者意識をもつことができたということである。23名中、21名が自分なりにはたらきかけをしたいということに類することをふり返りに記述していた。

 だが、問題はここからである。自分たちにどんなはたらきかけができるかについての考える視点が難しい。第一次では、活用する方法について住宅政策課の方に提案することを想定している。その方向に向けさせるためにどんな具体的な手立てを構築するかは未定である。ふり返り内容から判断すると、多くの児童は「活用する」=「空き家に住む」という認識であるため、領域1に分類された「(自主学習とつなげて)新築住宅が増えているので、中古物件の空き家が売れるはずがない」というふり返りを取り上げることも考えられるが、この点については吟味が必要だと言える。