社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

【一次第3時】「きけん」の看板から空き家の問題点について考える

<授業構想> 

ねらい:空き家がもつ危険性を起点にしながら、空き家の問題点について自分なりに考えることができる

 多くの児童が疑問にもっていた「どうしてきけんなのか?」ということを取り上げる。空き家は、防災、防犯、衛生、景観という4つにおいて地域の生活環境を損ねる恐れがある。本時では、この4つの要素に目を向けさせていきたい。きっかけが「きけん」の看板であるため、防災要素が児童からたくさん出てくるはずである。だが、それ以外の3つの要素は視点を切り替えないと出てこない。そこで、近くに住む人にとって危険であるという「問題」が空き家にはあるということを確認する。その後、「危ないこと以外に近くに住む人にとって問題はないのか?」と問う。そのことによって、衛生や景観上の問題があることに気づいていくはずである。

 また、今の段階では、児童が考えていることは、あくまでも予想である。だが、その予想から本当はどうなのか?と空き家がもつ実際の問題について明らかにしたくなる。そのための布石をうつ時間としたい。

 さらに、空き家を放置しておく理由について目を向ける際には、児童のふり返りである「数年後どうなるのか?」という疑問を取り上げる。ここで、もっとボロボロになる、もっと危険が増すことになるという意見から、そんな問題がある空き家をどうして放置しないのかという課題につなげて、次の展開につなげていくこととする。

  1. 前時までの確認をもとに学習課題をつくる
  2. 看板に示されていた「きけん」が意味することを個人で考える
  3. 考えを全体で共有する
  4. 危険性があるということが「問題」であることを確認し、他の「問題」について考える
  5. 空き家を放置しておく理由に目を向ける
  6. 学習をふり返る
  • 領域1:教師の期待するふり返り以上の事柄が記述されている
  • 領域2:空き家のもつ問題点に関する気付きが記述され、今後の見通しが記述されている
  • 領域3:空き家のもつ問題点に関する気付きが記述されている
  • 領域4:空き家のもつ問題点に関する気付きが記述されていない。

<授業省察

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  • 領域1・・・0人
  • 領域2・・・6人
    <比較>
    「この空き家の昔と今を比較してみたいと感じました」
    <展望>
    「なぜそのままにしておくのかということをみんなと早く話し合いたいし、その理由を知りたいです」
  • 領域3・・・13人
    ※多くの児童が記述していたを記載
    「空き家をそのままにしておくと危ないことが起こることが分かった」
    「あぶない以外にも問題があることが分かった」
    「あぶないものをそのままにしておく理由が分かりません」
  • 領域4・・・5人

 前時同様、強い興味関心を抱いているようである。実際に、安全面での問題以外についての問題を問うた際には、衛生や景観に関することは想定通り児童からできてた。さらに、治安の問題についても起こりうるということを児童自ら見出していた。この点についてはよかった。一方で、学校近くにある1つの空き家を取り上げており、空き家というイメージが固定化している。今回取り上げている空き家は極端な例であるということをどこかで確認することとする。

○今後に向けて

 単元構想通り、「問題がたくさんあるのに、どうしてこわさないのか」というところに児童は着目できている。様々な理由を考えながら、持ち主の事情があるということ、いくら予想をしていても真相は見えてこないということに落とし込んでいく。現時点である児童が、みんなで話し合っていることはあくまでも予想であると記述しているふり返りが見られた。次の授業の終末には、予想ではなく、事実を明らかにしたい気持ちを高めていきたい。

○ふり返りにおける領域4について

 領域4に分類された児童は6人であった。いずれの児童も、次時のことが気になり、そのまま放置される理由について考え、ふり返りに記述していた。この点については、ふり返りの条件をはっきりと提示することが必要であると考える。

○自身の授業スタンス

 ふり返りを4領域に分類しているがゆえに、児童の思考を把握するという意味において、授業中における意思決定の幅が以前より広がっているように感じる。また、今回授業を撮影し、視聴することによって授業時における自身の意思決定内容の追体験を試みた。一人一人の指名意図も明確にできていたと思うし、意図していた通りの展開となっていた。一方で、教師の介入があまりにも多い。たしかに小気味よいテンポで展開し、参加を促す様々な手立てを構築しているものの、一方的な進行だと感じる。この点についてはもう少し引くということを意識していきたい。