社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

学習の方向付け

 蓄積してしまっていたので、2回分の授業をまとめて掲載する。

 オリエンテーション後、子どもたちからは、「今年の総合何になるんかなぁ」という声が多く聞かれた。質問されることもあったが、「みんなでハテナが見つけないといけないね」と返しておいた。総合=自分たちで課題を追究していくという意識を当初から持たせるために、このようなスタンスをとっている。

 2週間前になるが、7月2日に昨年度お世話になった株式会社こはくの滋彦さんと直子さんの動画を見せた。去年のクラウドファンディングの結果と、今後、新たに取り組み始めた”イチバのハコ”の紹介が主な内容である。

 そのメッセージの中の、「コロナの影響(えいきょう)で、いろんな人たちが大変な思いをしています。困っていることが多いなと感じている人はたくさんいるはずです。みんなもきっと、大変だったと思います。私たちもとても大変でした。コロナに負けずに、みんなも頑張っていってください。」という部分を取り上げた。「みんなはそこまで大変じゃなかったでしょう」と発言すると、「大変だった!」、「大人に比べたら大変じゃないけど、ぼくらも苦労した」、「みんな大変だった」という嵐のような返答があった。やっぱりみんなも大変だったんだね、と共感したあと、「ちなみに、大人もやっぱり大変だったの?」と問うたところ、「いろんな人が苦労してた!」「みんな!」という反応があり、「具体的には?」と突っ込むと「ありすぎて言えん」とのこと。具体的な職業などが口に出し始めた段階でチャイム。終了直後、ある子が「このこと、次の総合でやればいいやん」と発言した。数名から、「総合っぽいし、それでいこう」という流れで次の時間へ。

 後日、コロナウイルスの流行でどんな人たちが大変な思いをしたかを全体で共有した。ここはあくまでも予想(ニュースや家族からの話)である。今回は、前半部に大変な思いをした人々、後半に、なぜ大変だったかという理由を共有したのだが、ここはセットで進めていくべきだったかもしれない。二度手間であり、つながりを断っていたように思う。

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 「黒板がうまるほど、たくさんの考えが出たけど、あくまでもこれは予想だよね?」と投げかけた。すると、「確かに」や「実際に調べたらいいやん」という発言があった。「調べてきてもいいですか?」という声が3年からも聞こえたので、「追究したいことがあったら、行動に移すことに価値がある」ということを伝えた。別の記事で述べるが、各自が家庭で調べていくこととなる。

 なお、第一サイクルでコロナウイルスのことを大きく取り上げているのは、2サイクル目以降の展開で社会にはたらきかけていく時のことを考慮しているためである。この部分で、子どもたちが社会になんらかのはたらきかけを行っていく際に、現在の社会情勢を把握しておくことがマストであると考えたためだ。ここ数時間で取り組むことが次のステップにいきてくればいいと考えている。

オリエンテーション

 新たに入った3年生にとって、総合的な学習の時間は未経験である。具体的なイメージを持たせることは難しいが、今後の展開を考えた時に、少しでも「楽しそう!」というプラスの印象をもってもらいたかった。

 そこで、4年生に、去年の総合はどうだったかを語らせることとした。ここは迷ったが、好き、好きではないの二軸のどこに位置づくかをネームで示させることとした。真ん中より少し上かと思っていたが、上部に固まった。その理由を語らせる中で、総合の魅力が3年生に伝わればと考え、4年生に思いの丈を語らせた。

 こちらが伝えておきたい事柄もほぼ出ていたことに加え、3年生の振り返りには、「楽しみだ」や「早くしたい」などという記述が多く見られたことから、ねらいに対しては達成できていたように思う。ただ、総合のサイクルについては、一度確認しただけでは間違いなく落ちない。ここに関しては、実際にサイクルを回していく場面で、教師がしっかりと価値付けていきたい。

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総合2020構想

 新型ウイルスの休校措置に伴い、このブログも更新が止まっていたが、あらためてスタートする。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)文章力の向上という2つの目的で始めたこのブログではあるが、振り返ってみると異なる役割を果たしてくれていたように思う。第三者がこのブログを他者に紹介してくれることを通して、自身の取り組みの認知を高めてくれるという点で大きな意味があった。今年度もこのブログからまた新たな人と人とのつながりが生まれることを期待したい。

 

 また、第二波、第三波に伴う休校措置の際に自ら学んでいけるよう、時数制限などはある中でも、総合はしっかり取り組んでいくこととする。さらに、コロナ禍の中、様々な場面でニューノーマルが求められている時期だからこそできる実践を目指していく。社会に変革が起こるところに、子どもたちが飛び込んでいくことで得られるものは大きい。また、三密を避ける授業展開や、校外へ出ることなどが難しいため、自身が取り組んできた総合のスタンスを変えざるを得ない。だが、それを逆にチャンスと捉え、この状況の中で、新たな総合に挑戦していくこととする。

 

 いろいろ考えたが、今年度は金沢市近江町市場を題材にした。ちょうど来年に開場300年を迎えるようである。今年度の構想は以下の通りである。

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総合2020構想

 

 「お!のある暮らし~近江町で働く人たちが綴る、おみちょのホンネマガジン~」第14号のおみちょのホンネ座談会に「地元の人にとっての近江町市場のあるべき姿というものをここで改めて見直さなければならない」という記述がある。先にも述べたが、このような中に子どもが参画することの意味は大きい。また、最近、何度か市場に足を運んだり、近江町市場の委員会に出席させていただいたりする中で、働く人の生の声を聞くことができている。確実に言えるのは、その至るところにこだわりや思いを感じるということだ。題材としての価値は非常に大きい。問題は、子どもに対し、課題意識をどのようにもたせるか、課題意識をどう持続させるか、この点については、今後じっくり考えていくこととする。

【2月28日】総合的な学習の時間最終授業

 新型コロナウイルスによる休校要請を受け、本当に残念ながら総合の授業を終わらざるを得なくなってしまった。休校の決定を伝えたところ、一番最初の反応が「成果報告会は!?」であった。関わって下さった多くの方をお招きし、マスコミ関係者にも来ていただく中で、社会に向けて自分たちの学びを発信していくことを考えて、自分たちで考えて行動していただけに本当に残念でならない。

 落胆の気持ちは分かるけど、限られた状況で何ができるか考えようと提案したところ、お世話になった方にお礼をしようということになった。手紙やメールということもあったが、時間もないので、「ムービーでいいやん」という発言をもとに動画メッセージを撮影することした。

 ある児童が「ここで終わっちゃったけど、(考えた体験については)滋彦社長が思い受け継ぐはずやって」と言っていた。発言の目線は置いておくとして、それに同意する周囲の反応を見ながら、なんとも表現できないものが胸に込み上げてきた。

 1年間の総合の振り返りも十分にできなかったので、簡潔に「自分にとって総合的な学習の時間とは〜」と表現させた。書かれているものを見ると、途中で終わってはいるものの、彼らなりにプライドをもって取り組んできたことがよく分かる。ただ、あまりにもかわいそうなので、何か策がないか考えたい。ひとまずは、クラウドファンディングという飛び道具があるので、それをなんとか有効に活用していければなと思っている。

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【2月第3週】成果発表会に向けての準備

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 成果発表会にむけて準備に取り掛かっている。クラスを5チームに分け、それぞれがすべきことを考え、行動している。発表をする【体験チーム(考えた体験について)】、【総合プロセスチーム(一年間の学びについて)】、【空き家チーム(空き家問題について)】、【町家チーム(金沢町家について)】は、学習計画をもとに、プレゼンの構成について考え、具体化していた。

 プロモーションチームは、まず、どのような人を呼ぶかを整理していた。専門家の方、関わってくれた方、In Kanazawa Houseの近隣の方などが上がっていた。高松附属の取り組みの話を以前したことを覚えていたのか、市長や県知事にも来ていただきたいと言っていたものの、今の状況を考えるとここはさすがに厳しいだろう。ひとまず、どのように行動するかをじっくり見ておくこととする。その後は、住宅政策課の方にお電話を入れ、チラシを作成していた。

 また、どのチームも、授業最初に45分でどこまでいけばOKかについて、ルーブリック(黒板参照)を自分たちで設定し、Aを目指して取り組んでいた。この流れも非常に板についてきたように思う。今後も楽しみである。

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【2月14日】クラウドファンディングサイトの文章を考える

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 クラウドファンディングの本格実施に向け、準備が進んでいる。サイトの文章の大半は滋彦社長が担当して下さっているのだが、一部を子どもが担当することになった。本時は、その文章を考えることとした。

 よく分からない人にお金をあげることがないのと一緒で、どんなプロジェクトか分からなければ、応援はされないということを確認した。何が必要かを問うと、納得する説明と心が動く説明がいると返ってきた。では、どうする?と、問うたところ、「本物を参考にしよう」ということになった。本来時間があれば、各自の端末で検索させるところであるが、あまりにも締め切りが近かったため、今回は抜粋したものを準備してそこからどんなことを書けばいいかをつかませることとした。子どもにとって馴染みの深い見開き水平ノートのプロジェクトを今回は取り上げた。

www.makuake.com

 「私には、夢があります。」や「〜してほしいのです。」といった部分から、【やりたい気持ち】、【強い思い】、【願い】が書かれている。ということを確認し、その後、熱さが見ている人に伝わる文章を書こうということになった。

 かなりタイトな時間の中で、それぞれが文章化に取り組んでいた。また、必要に応じてグループメンバーで集まっているチームもあり、フットワークの軽さを強く感じられた。以下は、文章化した例の一部分である。

  • 加賀繍とは、加賀糸でぬってある糸をきれいにかざる伝統工芸です。その加賀繍で背守りカードを作ろうとしています。背守りとは・・・(途中略)私には、加賀繍と町家のことをみんなに知ってもらうという夢があります。昔のことを世界中の方々に知ってもらい、町家のこと、加賀繍のことを気にかけてもらいたいです。今、世界中では、ブームなどで今の物にしか興味がなく、昔の物がなくなりかけているからです。このことを通して、昔の物も楽しんでほしいです。

【2月10日】今後の方向性の確認

 7日のテレビ会議の内容がもりだくさんであったため、一度整理することとした。2つの要素(①IN KANAZAWA HOUSEにて学習の成果報告会を行うこと、②専門家の方と一緒にクラウドファンディングに挑戦すること)についてそれぞれ詰めていくこととした。

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 第一に、IN KANAZAWA HOUSEにて学習の成果報告会を行うことについてである。「滋彦さんが言ったから、ではなくて、せっかくのこの機会でみんなは何を発表したいの?」と問うた。すると、体験のこと以外に、1)自分たちの総合のあしあと、2)空き家について、3)町家についてを発表したいということが意見が出てきた。途中、「そもそも誰呼ぶか、考えんなん」という意見もあったので、それは次の布石として取りあげた。その後、発表に向けてどんなことをしていくことが必要かについて確認した。プレゼンを何度も経験してきているので、学習計画は容易に立てることができた。

 第二に、専門家の方と一緒にクラウドファンディングに挑戦することについてである。前回の授業で土日に調べてきたいという振り返りが多々あったが、実際に調べた子の中で、A4用紙1枚にまとめてきた子がいた。簡潔にまとめられていたため、その全員分コピーしたうえで、その子に概要を説明させた。かなりイメージが具体化したようである。

 以下は、子どもの振り返りである。

  • 今日の授業で、どんなことをしていかなければいけないかが分かりました。あと、5週間しかないけど、自分ができることをしっかりしていきたいです。まずは、締め切りの近いクラウドファンディングの文章を考えたいです。
  • この発表の機会のことはすごく大きなチャンスだと思います。自分たちがしてきたことを発表して、空き家のことをもっと広くしってほしいです。