社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

今後の総合の展開

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 子どもたちのやりたいことは数多く、総合の字数だけでは足りない。それゆえ、総合の時間の枠を超えて展開していく。オンラインでのゲームについては、以前の記事でもふれている。同時に行うのは、ものづくり(何かを作ってプレゼントしたい)と、小集団ごとのプロジェクト(もっといろいろなことをしたい)を走らせることである。

 前者のものづくりに関しては、昨年度のからかみうちわづくり同様に図工担当と相談する中で進めていきたい。また、後者に関しては、オリパラ推進事業室のXさん、Yさんんにプレゼンをし、支援を受けるなかでよりよいものは実際に展開していくこととする。ただ、2019年度実践のように40時間(うち国語科15時間)程度かけて小集団ごとに展開することまでは行わない。ここはバランスを考慮しながら、進めていきたい。なお、すでに小集団ごとにプレゼンに向けた学習が展開が始まっているが、ここに大きいな穴があった。省察を含め、次の記事で大きく取り上げたい。

 

 

小グループごとの交流プロジェクト〜プレゼンに向けて〜

 いろんな「〜したい」が出たので、全てを全体で取り組むことはできない。それゆえ、小集団ごとに展開していくこととした。その際に、何でもOKというのではなく、ある程度の質を高めるために、アイデアをオリンピック関連事業推進室の方にプレゼンし、いいものを採用し、協力を得ながら進めていくということにした。

 その際に、XさんとYさんに提示してもらった条件は以下である。

  • 相手(フランス)に自分たち(日本・石川・金沢)のことを知ってもらえること
    ※相手(フランス)のことを日本に伝えるというのもアリ
  • いずれかの場所で何らかのコミュニケーションが起こるものであること
    ※紹介して終わりというものは避ける
  • 次年度も続けることができるような内容であること
    ※規模が大きかったり、多額の費用がかかるのはダメ

 この条件をもとに、どんなことをしたいかということをあらためて確認し、希望に基づき、グループ編成を行った(写真1)。ここでは、【日本の料理をフランス人選手に伝えるチーム】、【日本のアニメ・漫画をフランス人選手に伝えるチーム】、【日本の有名なところをフランス人選手に伝えるチーム】、【フランスの料理を日本に伝えるチーム】、【フランスの遊びを日本に伝えるチーム】、【フランスのお菓子を日本に伝えるチーム】の6つのグループができた。

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写真1

 その後、学習の見通しをもち(写真2)、国語科(話すこと・聞くこと領域)で学習を展開させていった。Xさん、YさんからOKをもらうためにはどんな要素をプレゼンに入れるべきかを考えるため、エラーモデルとなるプレゼンを示し、必要な要素を考えた(写真3)。

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写真2

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写真3

 それぞれのチームが具体的に何をするかを決めるまでは、各グループごとによく展開していっていたように思う。だが、そのあとの具体を考える際に、メンバー間での議論が絡んでいないということに気がついた。何となくではあるが、前提条件を揃っていないことが原因であると考えたが、確証はなかったので、子どもたちに聞いてみることにした。

 何人かにつまづいていることを聞く中で、「仲良くなるのが交流なのに、ただ日本のだれかに伝えるだけやったら意味ないやん」というつぶやきがあった。Yさんが以前、「国際交流は簡単に言えば仲良くなること、そして互いのことを知ることが交流の一歩だよ」と話してくださったが、前半の部分が強く残り、我々大人が今回の小集団でのプロジェクトに求めていた後半の部分が定着していないことが原因だと分かった。

 自分の中の構想にあった「絆を深める」という言葉を、「仲良くなる」に置き換えていたこともあり、そこを強調していたことがあだとなってしまったように思う。そこで軌道修正のために、フランス交流員の方に来ていただいた時にどんなことを感じたかを想起させ、その時の感情を含め、それが交流(仲良くなる)ことの一歩だし、そこを目指してみようということを確認した。

 XさんとYさんをお招きした11/2に完全に土台ができたと思っていたが、過信しすぎてしまった。久しぶり猛烈に反省。ただ、ここで足場をもう一度確認できたのはよかった。今後も様子を見ながら、しっかりと取り組んでいくこととする。

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写真4



 

手紙の返事

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koufuku54.hatenablog.com

 【フランスの文化を知ること】、【一緒に何かする】、【選手について知る】、【日本の文化を知ってもらう】の3つについては協力が必要だから、オリンピック関連事業推進室のXさんとYさんに報告をしようということで子どもたちが手紙を書いていたが、その返事をかねて教室に来ていただいた。

 レガシー創出としてオリパラのあとの事業を行っていかなければならないものの、全国どこの自治体も思い切った交流ができていない(対面交流ができないため)。打ち合わせの段階で、本学級とオリンピック関連事業推進室としての思いは一緒だということがわかっていたので、本当の思いを語ってほしいとお伝えしていた。

 ぜひ、やって欲しいし、価値があるということを子どもたちに語り、本学級の子どもたちをレガシー創出大使に任命してくださった(オフィシャルではない)。本校校長が、子どもが動くのは、目的意識・使命感・見通しをもつことができている時だと言っていたが、目的意識と使命感はおそらくある。あとはどう見通しをもたせるか、ここを考えたい。

 なお、省察の場として一層機能させていきたいので、今後は子どもの気づきやふりかえりなども取り上げていきたい。

 

目の前に現れる課題

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 自分たちが今どんなことをしたいかということを書いた手紙をオリンピック関連事業推進室のXさんとYさんに送った。その返事が次週となり、そこからストーリーが大きく展開していく。それゆえ、今週は1コマのみとした。この題材を、国語・総合・図工と取り上げるので、何のことをどの授業でしているかということが混在してしまいそうである。それゆえ、現時点での状況が、視覚で分かるような仕組みを教室掲示の中に位置付けたい。

 また、一番興味をもっていたオンラインで一緒に何かするということについて掘り下げていった結果、マリオ&ソニック東京2020をしたいとのことである。まぁ、そうなるかと思いながら、「ただそのゲームしたいっていうのは理由としてどうなのか?」と突っ込んだ。すると、彼らは理由づけをしてくるわけだが、確かによく筋が通っている。「一緒のプールで泳ぐことはできないけど、ゲームの中では一緒に泳ぐことができる」や「オリンピック選手やパラリンピック選手と同じ種目で戦えるのは、本当の世界だとできないけど、ゲームでならできる。本当の世界ではあじわえない感動もある」とのことである。

 さらに、本気でそれを実行するにあたり、解決しないといけない目の前に現れる課題もしっかり考えている。まだ、十分に土台は確立されていないが、その路線で進んでいこうとする子どもたちの様子があるので、こちらもそこのあたりの算段をたてていくこととする。

今後の展開の見通しをもつ

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 前時で拡散的にアイデアは出たものの、全てを実行することはできない。さらに、コロナ禍であることを考慮していないため、その点においても検討する必要が出てくる。いわゆる拡散段階から収束していく過程において、大切にしていかなければならないのは視点である。国際交流を行ううえで、この視点はある程度決まってくるが、その視点を授業者側から示すのは面白くない。もちろん、授業者側からある程度提示は必要であるが、今はその段階ではないと考えた。そこで、本時では、単純に「このあとどうする?」と問うた。すると、自分たちでできること、協力が必要なこと、コロナ禍でできることを整理する必要があるという結論に至った。(今後、さらに絞りをかけていく…)

 3つの視点に基づき、できることを確認していく中で、ひとまず【フランスの文化を知ること】は自分たちでできるということになり、それ以外の【一緒に何かする】、【選手について知る】、【日本の文化を知ってもらう】の3つについては協力が必要だから、オリンピック関連事業推進室のXさんとYさんに報告をしようということになった。

 また、【一緒に何かする】ことについては、コロナ禍につき、会うことはできいないということは何があってもできないことを示した。今回の授業で一番活性化したのはこのあたりである。やはり、どうしても遊びたいようである。何ならできるかについてアイデアを出し合う中で、出てきたものは全てオンラインのものであり、やはりオンラインに可能性があることを確認した。中でも面白かったのは、選手とオンラインでゲームをするというアイデアである。e-sportsもありだとは思っていたが、オリンピック公式ゲームがあるとは全く知らなかった。実現するしない抜きに、こういう段階では、全てのアイデアを許容していきたいものである。

www.olympicvideogames.com

 

選手としたいこと

 昨年度の実践では、「コロナ禍ならでできること」を考えるあまり発想に広がりが十分に見られなかった。当初はそれがいいと思っていたが、今回は一度「コロナ禍」という思考の制限となるものを外してみようと考えた。(まずは、発想を広げ、そのあと絞りをかけていく展開)

 まずは導入時に、前回の授業で「関わりたい」という声があったのを確認し、「関わる」ということの具体について問うた。関わりという曖昧な言葉が「仲良くなる」「お互いのことを知る」という言葉に置き変わった。その後、どんなことをしたいかを確認する中で、子どもたちがしたいことは、【一緒に何かする】、【選手について知る】、【フランスの文化を知る】、【日本の文化を知ってもらう】という4つに大別することができた。この中で、特に「一緒に何かする」ということに関心をもつ子が多かった。この次の時間にコロナの状況を踏まえて何ができるかということを考えていきたい。

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 ただ、【一緒に何かする】ということについてはかなり限定的になる。オンラインがベースになるであろう。そこは次の授業までにどんな可能性があるのかを会話を通して探っていきたい。また、授業終了後、フランスのことを端末で調べる子が多くおり、特に、ストリートビューでパリの街並みを見ている子の周りに多くの子集まっていた。今日の授業で今後の探究の土台を構築できたように思う。ただ、昨年度同様、どうもコロナ前までに比べ、展開が遅くなる。これは本当に悩ましい…。

文化体験動画を見た選手たちの反応

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 蔓延防止措置も解除されたこともあり、オリンピック関連事業推進室のお二方を教室にお招きした。そして、1学期に児童がつくった『選手がバブルの中でも楽しむことができる文化体験動画』をホテルで視聴した選手たちの反応をお話しいただいた。

 頑張ってつくった6つの動画を本当に楽しんでいる選手たちの様子を映像で示していただくことができたので、子どもたちは大きな満足感を得ていたように思う。授業最後には、「もっと交流したい」、「これだけで終わるのはもったいない」という感想が想像以上に出てきていた。9月当初にオンラインで登場していただき、子どもたちに反応を返してもらうということも考えていたが、子どもたちとも話し合い、直接お話を聞くという展開にもっていってよかった。今後の起点となるところではやはり対面に限る。

 意欲を喚起する授業になっただけに、この次の授業が勝負どころだと思う。気持ちが減退しないように今回は総合Classroomの投稿へのコメントをマストにした。コメント欄での交流もあることから、きっと金曜日よりもいろんな「こんなことしたい!」をもって学校に来るであろう。それをベースに授業を展開していくこととする。

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(なお、ここではあえて、コロナの状況を考慮しなくてもいいということを条件としている。)