社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

「話し合うこと」における資質・能力の育成を目指した教科横断的な授業設計

 国語科の「話すこと・聞くこと」領域における題材として総合的な学習の時間と教科横断的な授業を行っている。学習指導要領には「目的や進め方を確認し、司会などの役割を果たしながら話し合い,互いの意見の共通点や相違点に着目して、考えをまとめること」という指導事項が明記されている。本単元の学習では、この点についても重点的に指導したいと考えた。1週間前に行った授業であるが、今回はこのことについて取り上げる。

 話し合いの仕方を学ぶという必然性は子どもたちにはなかなか生まれない。そこで、今回はある児童のふりかえり(町家見学の前の時間でのグループの話し合いがうまくいっていかなくて困ったという内容)を取り上げた。同様の経験があるかを問うたところ、半数以上の子どもが同様の経験をしており、特に意見が対立した時にまとめることに難しさを感じる子が多かった。「話し合いでは、やっぱり全員満足したい」というつぶやきを拾い、どうすれば全員が満足する話し合いになるかという学習課題を設定した。

 ただ、具体的な事例がないと全員が満足する話し合いに必要な要素をつかむことはできない。そこで、話し合いがうまくいかなかったグループを取り上げ、録音したものを文章化し、子どもたちに考える材料として提示した。なお、この取り上げたグループの子どもたちには事前に全体の学習で取り上げてもよいかを確認した上で、仮名で表記している。そこから、うまくいっていない部分を見出し、その要因を考えた。ここでは、①全員が参加していない、②意見の反対しかしない、③話を遮る、④話題がずれていってしまうという課題を見出していた。①全員が参加していないことについては、司会役を設けること、③話を遮ることについては、最後まで聞くことが必要であるということを確認した。だが、②意見の反対しかしない、④話題がずれていってしまうことについて、ある子は「真剣になればなるほどそうなってしまうからどうしていいか分からない」と述べていた。そのことに共感する子が多く、このことは非常に難しいということを全体で確認した。具体的にどうすればいいか分からないということだったので、NHK学校放送番組を視聴することとした。

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 「お伝と伝じろう」の視聴を通し、テーマを意識しながら、話し合いを見える化することの大切さが必要であることを確認した。翌日より、この時間に確認したことに基づき、子どもたちはグループでの話し合いを行っていった。

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 ただ、頭で分かっていても、実際にそれができるとは言い難い。ただ、そのことを子どもたちに意識させることそのものが非常に意味があると考える。うまくいかなかった時はどうしてうまくいかなかったかを、うまくいった際にはどうしてうまくいったのかをふり返りに記述させることで、高まりが見られるはずである。実際に、10月18日の授業のふり返りに「今日の授業では、話し合いがうまく進んだと思います。1回1回の(プレゼンの)練習をホワイトボードでふり返りながら行ったし、一人一人の意見を大切にしたからです。」と記述している子がいた。同様のことがおそらく今後もあらゆる場面で出てくることが想定されるため、まずは教師がその部分にアンテナを持ち、価値づけていくことを大切にしていきたい。

 なお、このことについては、11月9日(土)全国放送教育研究会全国大会で発表予定である。

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