社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

空き家問題の実践化に向けて

 前回の記事で、空き家問題を取り上げるネックについて取り上げた。今回は、その状況下でどのような手立てのもと、実践に取り組んでいくかについて考えたい。現時点では、以下の5つをコアとしたい。

  1. 探究心をくすぐる事象を提示する
     空き家問題という遠い題材をいかに身近に感じさせるか、これが課題である。対象が中学年であることを考慮すると、自分たちの手の届く範囲で強く印象に残る空き家を取り上げることが望ましい。ちょうど本校から、徒歩10分の距離に景観と安全性で問題のある空き家(特定認定空き家ではない)がある。この空き家を導入の中に位置付けたい。自分たちが現在もっている家という概念を覆す家(空き家)を目の前にして、子どもたちは多くの疑問をもつであろう。その疑問を探究の起点としていきたい。そこから、一通りの情報収集を行ったのち、「今後ますます増えていく空き家を減らしていくには、自分たちに何ができるか」ということを大きな学習課題としたい。ただし、個人の所有物であるので、プライバシーの問題には十分に配慮することとする。

  2. 顔が見える距離の実践パートナーを構築する
     いくら近くに探究心をくすぐる空き家があったとしても、物があるだけであり、そこに人は見えない。子どもの探究心に火をつけ続けるためには、題材に関する何らかの人の存在が必要不可欠である。ここでは、その存在を実践パートナーと称する。具体的には、金沢市住宅政策課の職員を現時点では考えている。ただ、行政関係者だけではなく、小学生が空き家問題という社会的課題解決に向けて取り組んでいくということに協力してくれる民間企業の方なども探していきたい。上部でも述べたが、プライバシーの問題もあるので、空き家の所有者と関わることはなかなか難しい。ここは慎重に進めていくこととする。

  3. 前例をいかす
     「今後ますます増えていく空き家を減らしていくには、自分たちに何ができるか」という課題のもと、子どもたちは試行錯誤を巡らすであろう。(そうなるように展開の工夫は必要であるが)だが、あまりにもスケールがでかいということもあり、なかなか見通しをもつことはできない。
     そこで、同じ小学生が空き家問題に取り組んだ事例を参考にさせる。

    www.onomichi.ed.jp

     自分たちと離れた場所であるとは言え、同じ小学生が取り組んだことであれば共感的に捉えることとなり、ある程度どのようにアプローチしていくことが必要かという見通しをもつことができる。ただ、ここでは、追実践をするということを目的とするのではなく、子どもたちの見通しをもたせるための前例として位置付ける。あくまでも、目の前にいる子どもたちと一緒に実践を構築していきたい。

  4. 展開をつなぐ時間を確保する
     総合の授業は週に2時間であり、意識をいかにつなぐかということが課題として残る。実際に、子どもが興味を示したり、話し合いを望んだりするといった高まりが見られているのにも関わらず、土日をはさんだ5日後に次の授業があるということはこれまでにも多々あった。前時の高まりが0になるわけではないが、日が経つにつれ、少しずつその高まりも失われていく。
     そこで、今回は週に2回、朝の会に空き家に関する情報共有の場を設ける。ここでは、家庭で調べてきたことや、授業以外でだれかと話したことなど、空き家に関することをシェアしていく。空き家に関することであれば、どんなことでもいいこととし(僕のおばあちゃんの家の横が空き家だった、とか、ニュースで空き家のニュースをやってたなど)、意識を切らずにつなぎとめておきたい。なお、共有すべき情報がない場合、それはそれでよいこととする。その場で共有した情報が布石として、後の展開に重要な役割を果たすということも考えられる。
    ※なお、これは高松市の河田祥司先生のアイデアである。

  5. ワクワクするような大きなビジョンを掲げる
     探究の第二サイクルを超えたあたりから「今後ますます増えていく空き家を減らしていくには、自分たちに何ができるか」ということを具体的に考えていく。その際には、発表や呼びかけで終止することはここでは避けたい。子どもたちが提案したことが、実際になんらかの形になること、そして社会から反響が返ってくるという大きなビジョンのもと、実践を展開していきたい。なお、実践パートナーが確立していないため、はっきりしたことは述べられないが、コミュニティースペースを構築したり、空き家を活用したイベントを開催したりするということを考えている。なお、ここではクラウドファンディングで子どもたちが資金を集めるということもアイデアの一つとして持っている。

 なお、次週より本格的に総合的な授業がスタートする。本ブログでは、可能な限り1時間の授業の構想と終了後の気づきを取りあげていきたい。