社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

空き家問題を取り上げるネック

 空き家問題というのは小学校3・4年生にとって総合的な学習の時間に適した題材であるとは言い難い。その理由は以下の3つに整理できる。

  1. 児童から遠い題材
     小学校3・4年生の総合的な学習の時間における題材として、一般的なものは校区にある歴史事象や伝統的行事、校区に住む人々との交流を介した共通行事の開催などである。ここで共通していることは児童に近い題材であるということである。だが、今回取り上げようとしている空き家問題というのは児童に遠く、必然性の感じるものではないということが挙げられる。
  2. 魅力の欠如
     総合的な学習の時間で自身がこれまで取り上げた題材は、それそのものに魅力を感じるものが多く、自発的に調べたくなるようなものが多い。そのため、金沢の観光パンフレットを作成した実践では、自身が担当する観光地に休日に自ら調査に行く姿なども見られた。だが、空き家問題そのものに魅力を感じることはなく、空き家という負のイメージから題材への魅力が欠如しているといえる
  3. 繊細な問題
     空き家問題には、所有者、地域住民、行政、関連企業が介している。さらに、そこには個人情報や行政、関連企業の利権など繊細な問題がある。特に、プライバシーにも関係していることから安易に取り上げることは難しい。

 以上の理由から、題材には適していないと言える。ただ、題材化できない理由を挙げるのは容易であるものの、単に題材化できない理由を挙げるという行為に生産性はない。その状況の中で、どのような手段を構築すれば題材化できるのか、児童の心に火がつく学習展開が可能かを考える方が生産的である。

 上記、3つの適さない理由や現状を打破する手立てを構築し、授業デザインの中に位置付け、子どもの心に火がついた時には得られるものは非常に大きい。(この点については前回の記事で取り上げた)だからこそ、どのように授業設計を行っていくかを吟味することが必要であると言える。