社会とつながるリアルな学びの実現に向けて

本ブログの趣旨は以下の2点である。(1)社会とつながるリアルな学びを実現する授業の構想と整理の場の確立(2)社会とのつながりの構築

古川社長にお願いをしよう

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 以前、単にお願いをしても、任天堂の社長は貸してくれるはずがないということを確認した。相手側にとってどんなメリットがあるかを考え、それを伝えればチャンスがあるかもしれないということで任天堂サイドにどんなメリットがあるかを考えた。1学期当初にはこのような壁が高い場面には、「でも」や「無理」という言葉が多く聞こえていたが、現在はほぼいない。できるための方法を探そうとしている。このマインドセットが本当に大事なことだと考えている。ただ、決してマイナス発言する子もゼロではない。最近もいつかの授業後の休み時間に「無理やろ」とつぶやいて子がいたので、その理由を聞きながらも、やりたい気持ちがあるなら、今の状態で何ができるかを考えることに価値があるということを伝え、授業でも全体であらためて確認した(はず)。

 学級通信に学習内容のことを取り上げ、同時に家庭でも話し合うことを依頼した。その際には、任天堂の理念を書いたものを配布しておいた。子どもたちが家庭で考え出してきた意見は、【利益につながること】、【任天堂の大切にしていることと合致する取り組みであること】、【子どもの生の声を伝えられること】という3つに大別できた。自由交流のなかである子が、「笑顔を大事にして、独創を大事にする会社だからこれで断ったら嘘つきだ」と言っていた。筋は通っているなと感心しながらも、立場上「それは社長に伝えたらマズイよな。一緒に言い方考えよう」と伝えた。

 だが、この3つがどう絡むかまでは時間の関係上、深く考えることができなかった。次の時間に追加で確認が必要であるように思う。

  • 任天堂にとってのプラスは「広告→興味を持つ→もうけ」「新しいことに挑戦」「子供の感想」「笑顔」だということに今日の授業で気づきました。任天堂の使命は笑顔にすることにも気づきました。私は大体75%いけると思いました。

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 前回確認できなかった3つのことの関連性を授業冒頭部に確認した。その後、どうやって古川社長に伝えるかということを確認した。

 方法については、多様な考えが出る中で、後半部分で現実的なのはどれかを問うた。結果、【Youtubeにアップし、QRコード化(ここは方法を示した)した動画メッセージを添えた手紙を送る】、【お問い合わせフォームに送る】という方法の2つを行うこととした。後者のお問い合わせフォームは、ある子が「こんなページがある」と見つけてきて、ディスプレイに示した。「よく見つけたね」と授業後、確認したところ、国語の書くの授業で伊藤美誠選手の会社にコンタクトを取った際の問合せフォームが任天堂にもあるのではないかと思って探していたら見つかったとのこと。これまでの学習経験が根付いており、大変驚かされた。

  • 今日の授業で、どのように古川社長に伝えるか案を出しました。動画をQRコードにして、手紙に載せる方法と、お問い合わせフォームに入力する方法の2つが出ました。お問い合わせフォームは私は思いつかなかったので、なるほどなぁと思いました。
  • 手紙は届くと必ず読んでずよんもらえそうだし、2つの方法をやるというのは良いのかなーと思いまた。でも可能性は100%ではないから、少し不安なところもあります。

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 校外に出るような活動をする時には必ず校長先生の許可をいるということは子どもたちは知っており、以前から校長先生に許可をもらわなければならないと言っていた。古川社長への打診することの方向性も定まってきたので、このタイミングで校長先生に許可をもらうこととした。ここでは、「フランスパラ選手とSwitchで交流すること」、「古川社長に手紙を送ること」の許可を取る必要がある。

 こういう場合、本校校長は、内容について子どもたちにツッコミを入れてくれる。このツッコミに対する子どもの受け答えから、現時点での子どもの捉えが見えてくる。落ちていないなと思うことや、そんなことを考えているんだということが分かるのだ。こういう場面では、教師と子どもの認識のズレから大きく反省すべきことが出てくるため、あまり気持ちのいいものではないが、定期的に位置付けるようにしている。

 実際に、校長から「ゲームで本当に関係が深まるの?」や「そう簡単に任天堂が貸してくれるの?」などのツッコミがあったが、どの質問にも比較的に答えることができていた。また、どの質問にも一部の子だけではなく、発言をつなげながら質問に対する見解を述べていたので、今回はそんな教師と子どもの認識にズレはないように感じた。おそらく、認識の土台を揃える時間が大きな役割を果たしていたのだろう。許可も無事におり、子どもたちのふり返りにも満足している様子が伝わってくる。

 また、日頃から関わりのある教育関連企業の社長が視察に来てくださっていたこともあり、子どもたちが考えたメリットを示し、同じ社長という立場でコメントを求めた。すると、メッセージを伝える際には、【それをする理由】、【どのよう方法でするか】、【実現可能性を示すためにこれまでの取り組み】を入れるとよいということを示してくれた。何の打ち合わせもないなかでいきなりお願いをしたが、非常に端的にまとめてくれた。今後の大きなポイントになると考えている。

  • 今日は校長先生に(1)のフランスの選手とスイッチでゲームをするということと(2)の任天堂の社長に手紙を送るということの両方とも許可をもらうことができてとても嬉しかったです。また、校長先生に許可をもらえたということは自分たちがフランスパラ水泳チームと一緒にゲームをしたいという気持ちが伝わったということだからそれもとても嬉しかったです。