空き家問題を題材化する理由
空き家問題は、空き家の所有者のみの問題ではない。空き家問題を解決するためには、地域住民、行政、民間企業の協働体制が不可欠である。金沢市では、空き家対策として以下の協働体制を構築しようとしている。
実際には、空き家問題は所有者の問題と認識している人が大半をしめているというのが現状だ。この現状を打開するべく行政は啓発運動としてリーフレットの配布やセミナーの開催を行っている。だが、主だった成果は得られていないというのが現状である。
この状況は全国どこでも同じであり、この協働体制を構築することが急務であるが、その事例はあまり見られない。後述するが、非常に繊細な問題を有しており、ブレイクスルーの糸口が見つかっていない。だからこそ、この大きな社会的課題に子どもが関わり、行動を起こすことの意義は非常に大きい。前記事(自身の教師哲学)でも述べたが、子どもたちの行動を起点にして社会に変革が起こる。自分たちの学習を起点にして、社会が変わるという経験を今の子どもたちに感じさせたいということを強く願っている。
純粋な子どもたちであれば、空き家に関する状況を知った時、自分たちも何とかしなければと思うはずである(そこにはどのように課題意識を持たせるかが、非常に難しい問題ではあるのだが)。その思いをもとに、彼らが自分たちの学びに意義や誇りを感じるような学習を展開させていきたいと考えている。空き家問題は、まさにそのことの体感につながる可能性をもつ題材であると自負している。